赤池 雅史

徳島大学大学院 医歯薬学研究部 医療教育開発センター長

徳島大学では2004年に教員組織であるヘルスバイオサイエンス研究部(2015年4月1日から「医歯薬学研究部」に名称変更)と大学院教育組織である医療系4教育部(2006年4月に5教育部となり、2022年4月1日から「研究科」に名称変更)が発足しました。これを契機に、組織横断的な医療教育支援組織として、研究部に統合医療教育開発センターが設置されました。(2006年12月1日から「医療教育開発センター」に名称変更)

現在、本学蔵本地区には、医学・歯学・薬学・栄養学・保健学に跨がる1研究部、3学部6学科・5研究科、先端酵素学研究所、ならびに徳島大学病院があり、医療系全領域にわたる教育・研究・診療組織がひとつのキャンパスに集約しています。当センターの役割は、この徳島大学の強みを基盤として、各部局の専門性を活かしながら組織の枠組みを超えた教育連携を行うことで、全人的医療を実践できる高度専門医療人や優れた生命科学研究者を育成することです。当センターでは、各研究科・学部のカリキュラム・アドミッションポリシーに基づき、高大連携~卒前~卒後・生涯教育・リカレント教育を「縦軸」、専門職連携教育を「横軸」として、組織横断的大学院教育、スキルスラボ運営管理、シミュレーション教育、医療コミュニケーション教育等に取り組んでいます。

組織横断的大学院教育としては、センター設置当初より大学院共通科目e-learningや英語プログラムの運営支援を行っており、Tokushima Bioscience Retreat(2005年度~)や教育クラスター事業(2009年度~)にも取り組んでいます。医療系学部学生を対象とした専門職連携教育については、1年次合同ワークショップ「チーム医療入門」(2007年度~)が正課(SIH道場)として確立し、2017年度には学部連携PBLチュートリアルが正課となり、さらに、2016年度からは一部の学部でチーム医療臨床実習がスタートすることで3ステップからなる学年積み上げ式専門職連携教育へと発展しています。シミュレーション教育については、基本的技能から高度医療手技にわたるトレーニングとしてスキルスラボの利用が年々増加しています。2016年度からはメディカルトレーニングラボ(石井キャンパス)やクリニカルアナトミーラボ(徳島大学病院)と連携して、卒前卒後一貫の低侵襲手術手技トレーニングプログラムも行われています。また、理工学部等と連携した医光融合人材育成(医療ラボ実習)も開始されました。スキルスラボは2023年9月に医歯薬学共創プラザ1~3階へ移転して面積が約3倍へ拡充されるとともに、在宅医療や診療現場の模擬トレーニング室を新たに設けており、今後さらに活用していきたいと思います。医療コミュニケーション教育については、医療系学部での模擬患者参加型教育への支援を行っています。

医療教育開発センターとしては、これらの取り組みの評価と継続的改善に取り組みながら、組織・領域横断的な医療教育のさらなる充実を目指す所存です。皆様のご指導ならびにご支援をよろしくお願い致します。